Ryu-suiの温泉紹介

長野県長野市在住の23歳学生、皆さんに伝えたい旅の思い出を記録しています

【島根県】温泉津温泉

今回はずっしり効く世界遺産の温泉・温泉津(ゆのつ)温泉について!

温泉津温泉「元湯」

目次

温泉データ

所在地 :島根県大田市

 泉質 :ナトリウム(・カルシウム)ー塩化部泉

源泉温度:45~50℃

  pH  :6.0~6.3

その他 :世界遺産石見銀山遺跡とその文化的景観

     「国の重要伝統的建造物群保存地区」指定

特徴

温泉津温泉は山陰・島根県日本海側に位置する温泉地。

実はかなり歴史のある温泉で湯治場として栄えていた過去がありますが、2007年に石見銀山遺跡とその文化的景観の一部として世界遺産に登録されたことで、再度有名になりました。

石見銀山の外観(島根県公式観光情報サイトより)

温泉の話題からは少し逸れますが、石見銀山と言えば戦国時代後期から江戸時代前期まで繁栄した日本最大の銀山の跡地。特に1620〜1640年には世界で産出する銀の1/3の約ほどである年間40tもの銀が生産されたと言われています。

この頃は日本こそ鎖国状態でしたが、世界は大航海時代。銀が通貨の基軸となっていた海外へと石見の銀は輸出されていくことになります。

石見銀山の内部(島根県公式観光情報サイトより)

世界遺産の選定地域には銀の生産に関連した集落・施設も含まれており、特には温泉津は温泉街である一方、銀を詰め込む港町としても栄えていたために「歴史的な土地利用の証拠」として温泉津温泉の温泉街も世界遺産の一部に含まれている、と言ったわけだそう。

こうして温泉津温泉湯の峰温泉に次いで国内二番目の世界遺産の温泉となりました。

16世紀に銀の積出港として栄えた温泉津の港「沖泊」(島根県公式観光情報サイトより)

ちなみに元湯に至る赤い石州瓦屋根の家やナマコ壁の土蔵、大正時代の洋風レトロな薬師湯旧館などが並ぶ温泉街は、2004年に温泉街として初めて「国の重要伝統的建造物群保存地区」に指定されました。

温泉津温泉 温泉街(島根県公式観光情報サイトより)

そんな魅力ある温泉津の町ですが、温泉もとってもすごい!

特に「薬師湯」さんの温泉は日本温泉協会の天然温泉の審査で"オール5"をとったんだとか!(自分はあまり詳しくないのですが、どうやら全国で11箇所しかない名誉あるものらしい...)。

温泉津温泉の特徴は成分がとても濃いこと。溶存物質の量は源泉に違いはあれど7000~8000g/L程度で、湧出時は透明ですが次第に酸化し淡茶褐色になります。また泉質としては分類されませんが遊離二酸化炭素も多く含まれているのも特徴の一つです。

源泉温度は40℃後半くらいと少々熱い程度ですが、逆にこのくらいの泉温だと冷まさないことが多く、また温泉津温泉では源泉に浴槽が近いことも多いため、結局実際に入浴すると熱く感じます...。(温泉津温泉元湯では熱めの浴槽の他にぬるめの浴槽も出来たので、より温泉を楽しみやすくなりました!)

温泉津温泉元湯の浴槽。一目で成分が濃いのがわかる...

歴史

温泉津温泉には旅の僧が湯に入って傷を癒すタヌキを見つけたという伝説が残っており、約1300年前には既に発見されていたとされています。かなり歴史が深い...。

平安時代中期に編纂された「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」に「温泉(ゆ)郷」として登場し中世には「温泉氏」が治めていました。

室町時代には現在「元湯」と呼ばれる泉源湯坪がつくられ、温泉開発が本格化します。

16世紀に石見銀山が発見されると温泉津は積出港となり湯治場としても発展。

明治5年(1872年)には死者500名以上を出した浜田地震が発生。その際温泉津では別の源泉が湧出し、その源泉を現在の「薬師湯」が利用しています。このことから薬師湯は別名「震湯」とも呼ばれています。

温泉津温泉「薬師湯」(島根県公式観光情報サイトより)

実はこの薬師湯と元湯では、位置的には結構近いのですが成分は少し異なります。(例えば薬師湯の泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物泉ですが、元湯ではナトリウムー塩化物泉となります。)

現在の温泉津温泉はシルバーラッシュ時代の栄光を留め、湯治場の歴史の生き証人となる温泉地になっています。

訪れた感想

自分が実際に足を運んだのは2年前の11月、かなり日の沈みかけたころでした。

温泉街入口。コロナの影響なのか、かなり暗い...

訪れたのは薬師湯さんです。

午後18時ごろに訪れましたが意外と人がおり、浴槽があまり大きくないこともあって20分程度待ち時間がありました。待機中は館内を見て回っていましたが、めちゃくちゃ雰囲気がいい!いかにもノスタルジックな雰囲気...。

館内一階のカフェスペース(島根県公式観光情報サイトより)

館内二階の休憩スペース(島根県公式観光情報サイトより)

そんなこんなで時間が経ち、念願の温泉へ。

浴槽は温泉成分ですごいことになってる!!!ただモノではない感がすさまじい。

薬師湯の浴槽。すごくない...??

源泉のかけ湯をして体をなじませます...が結構熱い。なじむまでは時間がかかります。

体と心の準備ができてから温泉に入ると、めちゃくちゃ重い感じがする!

本当にずっしりとくる感じ。これは確かに効果がありそうな気がしてくる、そんなお湯です。やはり泉温が熱いので5分もしたら休憩し、体を冷まします。その繰り返し。

体に効きそうな感じがして、何回も入りたくなる温泉です。

周りの方も入って出て入って...の繰り返しで、同じ気分なのかなと勝手に想像しました。

感想になりますが、本当に貴重でここにしかない温泉だなと感じました。訪れる価値は絶対にあります。昔から現在まで大切に管理されていることに感謝しながら入りたい温泉でした!!

後書き

ということで今回は温泉津温泉についてでしたが、いかがでしたでしょうか。

一応今回で全国の○○地方の温泉は一度は取り上げたでしょうか。

東北地方や中国地方はの温泉はあまり取り上げていませんが、実は結構足を運んでいて好きな温泉も多いので、またおいおい記事にしたいなと思っております。

それにしても今回の温泉津温泉は、これまで記事にした温泉の中でも一層湯治向きと言いますか、成分が割とガチで温泉マニアが御用達、あまり温泉に詳しくない方は近寄らない温泉と言いますか...。

そのような温泉は、ほぼほぼ素晴らしい温泉の確定演出のようなものでとてもわくわくしますが、一方で自分のような20代の入浴客は割と珍しいようです。最近は若い方の入浴マナーが良くないと言われることもあるようなので....。自分はあまり白い目で見られた経験はありませんが、何となく気持ちはわかるような。

そこで私は、特に温泉津温泉のような歴史があったり雰囲気を大事にしている温泉ではめちゃくちゃ気を遣って温泉に入るよう心がけています。戸を開けたらまずは挨拶。それから源泉で何回もかけ湯をして、波のたたないようにゆっくりと入るなどなど。

そして一番大事にしているのが、入浴中は笑顔でいること!!

いい温泉に入っているときに、周りの人が笑顔でリラックスして入っているのを見ると自分もいい気分がしてきます。何よりむすっとしているより笑顔でいた方が自分もより温泉を楽しめるような気がします。

温泉に入るときは泉質だけでなく自分の精神状態も同じように大事だと最近は思っています。そしてこれからもそこは大事にして温泉ライフを満喫しようと思います。

それでは今回はこんな感じで!ここまで目を通してくださりありがとうございました!