今回は「日本一の炭酸泉」、屈指の保養温泉地である長湯温泉について!
目次
温泉データ
泉質 :(含二酸化炭素ー)マグネシウム・ナトリウム(・カルシウム)ー炭酸水素塩泉
総湧出量:毎分2882L
源泉温度:19~52℃
pH :6.3~7.3
その他 :日本百名泉、国民保養温泉地、日本一の炭酸泉
特徴
長湯温泉は全国でもかなり珍しい天然の二酸化炭素泉で、その中でも湧出する炭酸ガスの総量は日本一の素晴らしい温泉です。
二酸化炭素泉は「心臓の湯」とも呼ばれ、血管拡張作用による血行の促進や、飲泉をすれば胃腸の働きを活発にするため胃腸病や便秘にも効果がある、医学的効用の高い泉質です。
長湯温泉は昔からその医学的効用に目を付け、町ぐるみで温泉地を発展させていきました。例えばドイツの温泉地で炭酸泉活用のノウハウを学びに行き、現在でも交流を続けています。その成果として、今では「竹田式湯治」と呼ばれる独自の湯治法を提案していたり、竹田市内に宿泊する方を対象に特典・給付などを行う取り組み、「竹田式湯治パスポート」を実施していたりしています。
他にも22か所の日帰り入浴可能の施設や、6か所の飲泉場を設置するなど温泉療養にはかなりの力を入れています。
それらの活動によって、実は竹田市全域が国民保養温泉地に指定されており、また2015年にはヘルスツーリズム大賞に選ばれるなどその実績は高く評価されています。
名物浴場と言えば、24時間無料で利用できる河畔の露天風呂「ガニ湯」です。
名前の由来は、美しい娘に恋をした大蟹が雷に打たれてできたという伝説から。入るには結構度胸がいりますが、せっかく長湯温泉を訪れたならぜひ。
ちなみに橋の下には脱衣場があり、女性は水着で入浴することができます。
歴史
長湯温泉の歴史は古く、奈良時代の書物「豊後國風土記」に登場するとか。
実際に入浴施設が整い始めたのは江戸時代からだったようで、藩主の普請によって温泉を取り込んだ御茶屋や入浴施設「新湯(現在の御前湯)」ができました。
昭和時代には、類まれな泉質であるにも関わらず世に知られていない長湯温泉を有名にするため、先人たちがドイツで炭酸泉の効能を科学的に証明したり、与謝野晶子や田山花袋など多くの文化人を招くなど精力的に動きました。
昭和60年には入浴剤メーカーの花王による調査から、日本一の炭酸泉であることがついに証明され、念願かなって長湯温泉が一躍有名になります。
その後は平成元年の「全国炭酸泉シンポジウム」や平成4年の「西洋と日本の温泉文化フォーラム」が開催され、ヨーロッパ、特にドイツと長湯温泉の間で人材交流・文化交流が実現。
その交流のシンボルとして、平成10年には温泉療養文化館「御前湯」が誕生し、今日までの日本とドイツの異文化の融合、そして古くから続く長湯温泉の歴史を残す施設となっています。
訪れた感想
自分が実際に訪れたのは丁度去年の今頃。九州旅行の最後に長湯温泉を選びました。
自分はそれまで天然の二酸化炭素泉に入浴したことがなかったため、結構緊張気味。
訪れたのはラムネ温泉館。どうでもいい話ですが、自分より一回り年下の女の子が丁寧に接客してくれて、感心した記憶があります。
温泉は内風呂と外風呂(+サウナ)と分かれています。
内風呂は浴槽がいくつか分かれていて、泉温が少しずつ違うため(大体40℃強)、好みのお湯に入る感じでした。写真を見ただけで普通の温泉とは違う感じしますよね、素晴らしいです。
続いて外風呂ですが、個人的にはこちらがまさに想像していた炭酸泉!という感じでした。
まず泉温が低い(30℃強、炭酸泉はそもそも泉温が高いとうまく二酸化炭素が温泉に溶け込みません)。
波を立てると肌寒く感じるので、入浴中の皆さんはじっとしています。そして湯口の付近は「二酸化炭素の成分が多いため、離れてください!」的な注意書きがあったのを覚えています。自然の力はものすごい...。
そしてしばらく寒さに耐えて慣れてきたころ、肌に泡がついてきます。これぞ炭酸泉!
これは自分だけかもですが、泡がついてくると余計に動きたくなくなってきます。
それでも、流石にしばらくすると寒さを再び感じてくるようになるので内風呂やサウナに入って体を温めます。それから体が温まったら再び外湯へ...。
もう本当に最高でした。そもそも自分がサウナ好きなのもあって、全国の温泉で水風呂の代わりにこの外湯を作ってほしいと思ってしまいました。
訪れたのは3月でしたが、季節が違えばまた違う楽しみ方ができるんでしょうね。
とにかく、天然の炭酸泉はめちゃくちゃいい!本当に大好きな温泉の1つです。こういう個性が強くて素晴らしい温泉をもっといろんな人に知ってほしいと思います。
...実は長湯温泉、もともとは川の河川敷や河原に自然湧出しており、そのときの泉温は最高でも40℃程度だったそうです。それが、より高温の源泉を求めて掘削が始まり60孔と源泉数は増したのですが、自然湧出の多くが姿を消してしまったようで...。
幸いにも、ラムネ温泉館では高濃度の遊離二酸化炭素を含む貴重な自然湧出の温泉が残っているとのことで、今回はラムネ温泉館を訪れた次第でした。
温泉地の発展に開発はつきものですが、貴重な源泉の保全も続いてほしいなと思います。
後書き
ということで、今回の記事はいかがでしたでしょうか。
今回初めて二酸化炭素泉を取り上げたわけですが、最近はいろいろなスーパー銭湯などでも人工的に二酸化炭素をいれた浴槽を目にします。
自分は炭酸泉が大好きなので、あれば必ずと言っていいほど入ります。健康にももちろん良いですが、なにより成分を溶け込みやすくするため少しぬるめになっているのがいい!時間を忘れてめちゃくちゃリラックスできます。泡がつくのも楽しいし。
ですが、炭酸泉とは呼ばれなくても泡がつく温泉は実は結構多いです。
そもそも炭酸泉が珍しいわけは、その基準の高さも理由の一つです。ですので泉質名に「含二酸化炭素ー」とつかなくても成分表やじっと温泉に入っていると泡がつくことがわかったりします。
自分が特に好きなのは、白骨温泉の「泡の湯・内風呂」でしょうか。あそこはぬるくて泡がついて、飲泉文化があって...飲泉所で飲むと炭酸っぽい感じもする感動的な温泉です。
あと炭酸泉で大事なのは"加温・循環なし、鮮度がいいこと"です。なんせ成分が失われやすい泉質ですので。
その点、やっぱり人工的な炭酸泉よりは天然の炭酸泉の方がいい感じしますよね。
ぜひ、炭酸泉が好きかもという人は、天然の炭酸泉にもチャレンジしてほしいなと思います。
以上!ここまで目を通してくださり、ありがとうございました!
(ちなみに来週は近況報告で記事にした通り、学会などでお休みしますので更新は無しです...。)