Ryu-suiの温泉紹介

長野県長野市在住の23歳学生、皆さんに伝えたい旅の思い出を記録しています

【富山県】宇奈月温泉

今回は今月で開湯100周年!富山県宇奈月温泉について紹介します。

宇奈月温泉 "やまのは"

目次

温泉データ

所在地 :富山県黒部市宇奈月町

 泉質 :単純温泉

適応症 :単純温泉/自律神経不安定症・不眠症うつ状態

源泉温度:98℃

 pH  :8.4(弱アルカリ性)

総湧出量:3000トン/日

その他 :日本百名湯(黒部渓谷温泉郷)、名湯百選

 施設 :温泉宿12軒、日帰り浴場2軒

概要

宇奈月温泉黒部峡谷の玄関口に位置し、開湯は今から100年前の1923年(大正12年)、富山県随一の規模を誇る温泉地です。

宇奈月という名前には、温泉開発の功労者の「宇治や奈良に並ぶ名月の地にしよう」という思いがこめられています

宇奈月温泉のお湯と言えば、日本屈指の”透明度”と”美肌効果”。透明度では日本一と言われることもあり、また美肌効果に関しては、富山県の方言で「つべつべ(※つやつや、すべすべの意味)」の肌になれると昔からの評判です。

そんな宇奈月温泉の源泉は、実は黒部川の約7キロ上流の黒薙地域から引湯菅を使って各温泉施設へと供給しています。つまり宇奈月で楽しめる温泉は、本当はかなり山奥からずっと長い引湯菅を引いて私たちのもとへ来ているわけですね。

また、宇奈月温泉が属する黒部峡谷温泉郷”は秘湯マニアの聖地のひとつとしても知られています。宇奈月温泉から延びる黒部峡谷鉄道に乗って、宇奈月温泉の湯元である「黒薙温泉」や河原一帯が自然湧出泉源地帯の「鐘釣温泉」、終点の欅平駅から山を登れば「名剣温泉」やその名剣温泉の引湯元の「祖母谷(ばばたに)温泉」など、壮大な自然を満喫できる温泉たちに出会えます。

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左上 "黒薙温泉" 右上 "鐘釣温泉" 左下 "名剣温泉" 右下 "祖母谷温泉"

 

さらになんと祖母谷温泉から更にずっと登れば「阿曽原温泉」、「仙人温泉」もあります。この二つの温泉は黒部峡谷温泉郷のくくりにならないほどの奥地で、本格的な装備で挑まなければいけない温泉ですが、もし入浴することができれば生涯自慢できること間違いなしです!!

温泉の特徴

宇奈月温泉無色透明の弱アルカリ性単純温泉で、他の泉質に比べて体への負担が少なく子供から高齢の方まですべての人におすすめできる温泉です。

宇奈月温泉のHPでは特に期待できる4つの効果について紹介されています

1.”イオンによるうるおい効果”-油や角質を落としてお肌しっとり

2.”アルカリ性の優しさ”-お肌に優しくタッチします

3.”炭酸ガスデトックス効果”-体の中までキレイにします

4.”ミネラルのリラックス効果”-お肌に染みこんでストレス解消

これらの効果から、実際に「しっとりつべつべ」になれる科学的根拠も実証されている温泉です。

 

と、公式サイトやパンフレットに書いてありますが少々ざっくりだと感じられるかもしれませんね…

または実際にどんな科学的根拠があるか気になった方もいるかもしれませんので、一応自分が補足できるところは深堀しようと思います。

イオンによるうるおい効果

イオンには陽イオンと陰イオンがあるのはご存じの通りですが、そのうち温泉に含まれる代表的な陰イオンには肌の角質をとる効果をもつ炭酸水素イオン肌の蘇生効果を持つ硫酸イオンなどがあります。

それらのイオンが含まれていることで、”イオンによるうるおい効果”を発揮してくれます。

アルカリ性の優しさ

一般にpHは7を基準として、それより大きい数値をアルカリ性、小さい数値を酸性と区別しますが、温泉では鉱泉分析法指針というものに則り2未満を酸性、3~6を弱酸性、7.5~8.5を弱アルカリ性、8.5以上をアルカリ性と細かく区別しています(ちなみに昔は2未満を強酸性、10以上を強アルカリ性とさらに区別しており、今でもそのような記載の温泉分析書を見ることもあります)。

アルカリ性は肌の角質を分解する働きが強く、特に古い角質の新陳代謝を促進するため、くすみをとったりツルツルの肌にしてくれる効果があります。ただしアルカリ性が強すぎると肌がボロボロになってしまったり、吸収した水分が一気に抜けて逆に乾燥してしまうことがあるので、入浴後のケアが重要になります。

宇奈月温泉のpHは8.4なので、まさにほどよくうるおい効果を与える”優しい”温泉となるわけですね。

炭酸ガスによるデトックス効果

炭酸ガスは皮膚から吸収され、血管の拡張作用や血流の増加作用が知られています。

具体的な効果には保温の持続や肩こり・腰痛、冷え性やむくみ改善の効果も実証されています。これらは炭酸ガスによって体の内側から体調を改善していくものですので、デトックス効果を証明する科学的根拠になりそうですね。

(参考にさせて頂いたサイト➡温泉-炭酸ガス - 株式会社バスクリン (bathclin.co.jp))

ミネラルのリラックス効果

ミネラルの定義は、一般的な有機物に含まれる炭素・水素・窒素・酸素の4元素以外の必須元素のことを指します。中でも温泉に含まれるミネラルとして代表的なものはカルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどがあります。

これらは1番の”イオンによるうるおい効果”で紹介した陰イオンとともに入浴剤の有効成分として利用されており、これらにも体調を改善する効果についての報告があるようです。

特にミネラルによる温熱効果などはまさにリラックス効果と言えるかと思います。

(参考にさせて頂いたサイト➡温泉-温泉ミネラル - 株式会社バスクリン (bathclin.co.jp))

 

また、HPには宇奈月流の温泉の入り方も紹介されています!

皆様もぜひ宇奈月に訪れた際は参考にしてみてはいかがでしょうか。

https://www.unazuki-onsen.com/common/pdf/hairikata.pdf

歴史

今でこそ立派な温泉街に発展している宇奈月温泉ですが、かつては「桃原」と呼ばれる桃の樹林が広がる無人の土地でした。

宇奈月温泉の開発が始まったのは大正時代、黒部川電源開発が始まったことがきっかけで、一大温泉地を開こうという計画が進められます。

1915年(大正4年)には富山市の主導で黒薙からの引湯管設置工事が始まり、その二年後には現在の宇奈月町内山の地に二階建ての旅館と大浴場を備えた「愛本温泉」の営業が始まります。

1921年には東洋アルミナル株式会社が資材運搬と湯治客も利用できる鉄道の建設を目的として、黒部鉄道株式会社を設立します。

※東洋アルミナル株式会社…日本最初のアルミ精錬所を計画し、黒部川電源開発を進める

しかし同じ年、愛本温泉は台風の被害により旅館の一部が倒壊、死傷者もでてしまい閉湯してしまいます。

その翌年、東洋アルミナル株式会社が設立した黒部温泉株式会社が旧愛本温泉の建物と温泉の権利を買い取り、さらに黒薙温泉の権利と桃原の土地の買収を始めました。

1923年には当時の三日市町の三日市駅(1969年廃駅、現JR黒部駅に隣接)から宇奈月を結ぶ鉄道路線が開通、同年11月末に黒薙温泉からの引湯菅を設置したことにより、ここに宇奈月温泉が誕生します。

ちなみにこの時設置した引湯菅には、7km先の源泉から温度を下げずに引湯するために試行錯誤した当時の土木技師のエピソードが残っています。気になる方はぜひ調べてみてください!

その後、1935年には権利濫用の重要判例として広く知られる"宇奈月温泉事件"、1946年の大火災、1953年のトロッコ列車開通などの歴史を経て、現在の宇奈月温泉へとつながっていきます。

訪れた感想

私は記事を書いていてなんですが、宇奈月温泉には二回しか訪れたことがありません(長野県在住といえども、富山県へはあまりアクセスが良くないんですよね…)。

一度目は昨年のこの時期、二度目は今年の6月頃に訪れました。

一度目の訪問の際は、黒部峡谷の素敵な紅葉のポスターをどこかで見て、突発的に車を走らせたのを覚えています。

シーズンから少し外れたこともあり、トロッコ列車には当日予約で乗ることができました。乗車中はトロッコ内の音声案内などもあり、(トロッコに20代男性が一人で乗るのには結構緊張しましたが)乗車中は楽しむことが出来ました。

列車は最初に宇奈月温泉の湯元である黒薙駅、それから河辺で温泉が自然湧出している鐘釣駅などを通って終点の欅平駅に到着です。

欅平駅からはヘルメット着用義務の山道を徒歩15分で名剣温泉、徒歩1時間ほどで祖母谷温泉といった具合です。思いがけない登山に苦しみながらも、硫黄の匂いがしたところに祖母谷温泉がありました。

 

まあなんとも開放感のある温泉でしたが、泉質は本当に良い!岐阜県新穂高温泉のような、高所にある香ばしい香りの単純硫黄泉という印象で、特に湯の華の量は今まで訪れた温泉の中でもダントツに多かった記憶があります。あまり入浴時間は長くとれませんでしたが、そこから帰り道の通りにある名剣温泉にも少しだけ浸かることが出来ました。

 

二度目は自分と双子の弟を連れて訪問しました。ちょうど台風が来ていたころで黒部川の水位がすごいことになっていましたが、目的の宿”やまのは”さんに到着です。

宿泊プランは朝食のみにしていたので、夜はじっくりと温泉を堪能しました。

"やまのは"さんの「大黒部」

「やまのは」さんのお湯はめちゃくちゃいいです!!!

正直以前訪れた日帰りの施設は水温が高く(若干塩素の匂いもあり…)あまり宇奈月の温泉を堪能できなかったのですが、やまのはさんのお湯は水温も丁度良く、泉質もなめらかで贅沢な単純温泉という印象で、肌で”しっとりつべつべ”を感じました。

単純温泉は少し温泉感を感じないこともありますが、家庭の浴槽とは全く違うなとわかるくらいに優しい温泉でした。サウナもついていて、外気浴では黒部の新鮮な空気の中でととのうことができるのもまた贅沢です…。本当に素晴らしい温泉体験ができました。朝は宇奈月温泉の名所の一つ、赤色の綺麗な山彦橋を見ながらの入浴と、富山湾の海の幸!

"やまのは"さんの「棚湯」

特にホタルイカに富山名物のとろろ昆布を回りにつけた寿司は絶品でした!

温泉だけでなく富山の山海の幸も楽しめるやまのはさん、皆様もぜひ!

"やまのは"さんの朝食(バイキング)

後書き

と、いうことでかなり長文になってしまいましたが、いかがだったでしょうか?

黒部ではキャニオニング、ラフティング、ジオパーク観光、ウォーキングコース、に食べ歩きクーポンなど、温泉以外での観光も大いに楽しむことが出来ます!が、このブログでは温泉に焦点を当てて記事にしているので今回はカットさせていただきました…。

この記事を書くにあたって、「行きたい!」と思った場所がめちゃくちゃありすぎて、恐らく一週間くらい時間を作っても足りないくらいな気がします。

とにかく、無人の土地を切り開いて温泉郷を作った方々には尊敬しかありません。

そして今現在宇奈月温泉を支えてくださっている皆様にも沢山感謝しなければいけないなと思いました。

ではでは、ここまで読んで下さり、どうもありがとうございました!

祝!開湯100周年!これからも末永く繁栄が続きますように!!