今回は九州地方、"地獄"で有名な雲仙温泉について紹介します!
目次
温泉データ
泉質 :酸性・含硫黄(鉄)ーアルミニウムー硫酸塩泉(硫化水素型)
含硫黄ー単純酸性泉(硫化水素型) ほか
適応症 :酸性泉/アトピー性皮膚炎,尋常性乾癬,耐糖機能異常(糖尿病),表皮化膿症
硫黄泉/アトピー性皮膚炎,尋常性乾癬,慢性湿疹,皮膚化膿症
源泉温度:42~98℃
pH :1.8~5.8
総湧出量:自然湧出量毎分600L
その他 :日本百名湯,名湯百選,国民保養温泉地,(国立公園指定)
概要
雲仙温泉は日本初の国立公園である雲仙天草国立公園内、標高700mの高地に湧く温泉です。
名前由来は、温泉が湧出する雲仙山をかつては「温泉山」と書いて「うんぜんさん」と呼んでいたことからきています。
(現在の「雲仙」という漢字は、1934年に雲仙地域が国立公園に指定された際に変更されたものです。)
雲仙温泉と言えば"地獄"が有名ですね。
日本には地面から白い煙を上げる噴気地帯を持つ温泉地があります。
そこは地熱やガスの影響で植物が育ちにくく、荒涼とした風景になることからその温泉地一帯を"地獄”と呼んだりしますが、雲仙はそれに該当する温泉地の1つです。
硫黄の匂いと水蒸気に包まれた大小30からなる雲仙の地獄を巡る"地獄めぐり”は、雲仙に来たら外せません。
また、地熱や噴気を足で感じる天然岩盤浴「雲仙地獄蒸し」や温泉たまごを味わえる「雲仙地獄工房」など、雲仙のパワーを体感できるスポットが沢山あります。
他にもロープウェイやゴルフ場、テニスコート、焼き物、湖畔でキャンプやボートなど雲仙の魅力は無数にあります。自分に合った楽しみ方を探しましょう。
温泉の特徴
雲仙の温泉は硫化水素型の硫黄泉ですので、お湯が空気に触れて白濁色をしているのが特徴です。適応症にはありませんが、美肌効果や疲労回復など嬉しい効果も期待できます。
また酸性泉でもあるので、なめるとすっばく感じるのも特徴の一つです。(飲みすぎるとお腹を壊すので注意!)。酸性泉による殺菌効果によって皮膚病によく、また最近ではコロナウイルスの対策にもなると噂です。
硫黄泉と酸性泉は刺激が強く長湯には注意ですが、効果に期待しながら雲仙の温泉を存分に楽しみましょう!
歴史
開湯から現在まで
雲仙温泉は行基によって大宝元年(701年)に開湯されたと伝えられています。
概要にある「温泉山」という山号はこのとき名付けられました。
奈良時代には「肥前国風土記」にも登場します。「…その味酸し」とも綴られていて、この時代から果敢に飲泉にチャレンジされた方がいらっしゃるようです。
その後、江戸時代にはキリシタンの弾圧の歴史(後述)を経て、明治時代には外国人の避暑地として有名になります。その名残が、温泉街に建つ趣深い洋風建築として残っています。
キリシタンと雲仙
江戸時代には雲仙がキリシタン弾圧の舞台になります。
1625年、キリスト教徒の弾圧が厳重になると1627年~1630年の間には「山入り」と称して教徒を雲仙へ送り、その熱湯や湯壺を使って文字通り地獄の拷問が行われました。
この歴史を今に残すものとして、地獄の名称に殉教された教徒の方の名前が付けられたものもあります。
島原半島では島原の乱やその後の隠れキリシタンの弾圧が続き、1658年までで数万人にも及ぶ教徒の方が殉教されました。
雲仙では、現在でも毎年5月の第3日曜日にはキリシタン殉教蔡が行われ、地獄めぐりのコース内にあるキリシタン殉教碑はこの地で殉教された方をたたえています。
訪れた感想
私が訪れたのは今年2月の終わりごろです。
当時はあまり下調べをせず、とりあえず地獄めぐりと足湯に入ろう位の気持ちで訪れました(酸性泉があまり得意でないので...)。
少し時間が余ったため、せっかくなので小地獄地区の"青雲荘"さんで日帰り入浴をさせて頂きました。
そのときに出会ったお湯が、今でも忘れられないくらい印象に残っています。
硫化水素型硫黄泉の中でも、特に綺麗なまでの白濁色の温泉に、酸性泉とは思えないくらいまろやか(?)で優しい温泉だと感じました。
内風呂はめちゃくちゃ清潔感のある温泉で本当に贅沢をしている気分を味わうことができます。
露天風呂は川のせせらぎ+心地よい風を感じられる、まさに雲仙の自然を満喫できる最高のロケーションです。
自分が訪れたときにちょうど雪が降り(九州で雪がみれると思ってませんでした...)、忘れられない入浴体験をさせて頂きました。
自分のようにあまり酸性泉が得意でない方でも、そもそも温泉が好きでない方もぜひ青雲荘さんの日帰りに足を運んでみてほしいです!絶対に後悔しません!!
今思うと雲仙の他の地区の温泉に入れなかったのはやっぱりもったいなく思えてきたので、また訪れる機会があればもっと沢山の雲仙の魅力を堪能したいなと思っています。
後書き
今回は雲仙温泉について紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
九州地方はあまり足を運んだことがないので、内容が薄いと感じられたら申し訳ありません。
それでも今回雲仙温泉を取り上げた理由は二つあります。
一つはもちろん温泉がものすごく好みだったこと。
もう一つは最近、遠藤周作の"沈黙"を読んで影響を受けたからです。
この作品は純文学を読まれる方ならもちろん読んだことがある名作かと思いますが、一応簡単に説明させていただきます。
"時代背景は島原の乱鎮圧後、キリシタンの弾圧が厳しい日本に、それでもキリスト教を布教するために長崎へ訪れた宣教師の物語です。
内容はネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、とにかくむごい拷問の描写や、
信仰とは、正しさとは、そしてなぜ○○は沈黙を続けるのか...。
若干センシティブな設定ですが、そこは純文学ならではの魅力かなと思います。
現代とは異なった時代背景の中で繰り広げられる物語の中で、宣教師の心情の変化や葛藤には読者を引き込む作品のすごさが特に印象的な作品です”
ここまで読み続けるのがためらわれ、それでも惹かれる小説は中々ありません...
気になった方はぜひ一読してみてください!
この小説で、雲仙の地獄での拷問の描写がありました。
以前雲仙を訪れた際に知らずに楽しんでいた自分は幸せ者であり、不作法者でもあったと思います...
本当に温泉にはいろいろな側面がありますね。改めてそう感じさせられました。
では長くなりましたが、ここまで読んで下さりありがとうございました!!